
遊びながらカーボンニュートラルを学ぶ、新しい環境体験プログラム
こんにちは!dottインターンの平林です。今回は私が関わった新しい環境学習プログラムの「カーボンクエスト」についてお話ししたいと思います。
カーボンクエストとは
カーボンクエストは、北海道大学の研究者が立ち上げたスタートアップ企業のエゾリンク(Ezolin-K)さんが開発した、環境問題への理解を深めるための体験型学習プログラムです。
参加者は「炭素分子」になり、地球上の「海」や「大気」「植物」「土壌」といったステーションをめぐるすごろく形式のゲームを通じて、炭素がどのように循環し、私たちの暮らしや地球環境に影響を与えているのかを、身体で体感しながら学びます。
このゲームを通して、気候変動問題や、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出と吸収を均衡させ、実質的な排出ゼロを目指す考え方)への理解を深めることができます。
カーボンクエストには現地で体験し対話するオリジナルの「ワークショップ版」と、スマホで体験できる「アプリ版」の、二つの形態が展開されています。
ワークショップ版
対面で行われるワークショップ版では参加者はグループ単位で実際に身体を動かしながら楽しく学びを深めます。サイコロを振り、出た目に応じて「大気」「海」「植物」「土壌」などの複数のステーションへ移動し、スタンプを押していきます。たとえば、出目が「動物ステーション」を示せば、その場所へ行き、「動物スタンプ」を押します。
サイコロは単なるゲームの演出ではなく、自然界での炭素が移動する割合を反映した確率で設定されています。個々の経路はランダムですが、参加者全体のルートを重ねると、自然界の炭素循環のような傾向が現れるように設計されています。
ルートが可視化されると、「なぜこの道を通るのか?」「どうすれば温暖化を食い止められるのか?」といった問いが自然と生まれ、対話や気づきを通じて科学的知見を行動につなげるきっかけとなります。

このワークショップ版のカーボンクエストは、現在まで北海道大学や、札幌駅前通地下歩行空間などで幅広い層に向けて実施されており、高い評価を受けています。
アプリ版
このカーボンクエストをより多くの人に届け、気軽に楽しめるものとするために、私たちはエゾリンクさんと連携してアプリ版カーボンクエストの開発に取り組みました。
このアプリでは、ワークショップ版のサイコロを振ってスタンプを集める、「すごろく+スタンプラリー形式」を再現しつつ、「カーボンニュートラル」に関するクイズの要素を追加しています。クイズは、AIによって年齢に合わせた難易度が調整されて出題されます。
これはインターン生のアイデアによるもので、子どもにはやさしくわかりやすい表現を、大人には少し踏み込んだ内容を提供することで、各年齢層に合った学びのレベルを実現しています。
アプリの利用方法はシンプルです。まず配布されたQRコードからスマホでWebアプリにアクセスし、イベントコードと年齢層を選択してログイン。すると地図上に次のチェックポイントが表示されます。そして現地のQRコードを読み取ると、はじめに選択した年齢層に合わせた環境クイズが表示されます。正解すると、次のステーションへ案内されるようになっています。
スタンプを4つ集めるとプレゼント応募も可能になるなど、ゲーム感覚で楽しみながら学べるのがこのアプリの魅力です。
実は、私もアプリ開発に関わらせていただきました!


また、すべてのクイズは環境学の専門家が監修しており、学習内容の信頼性も十分に確保されています。このように遊びながら環境問題について学ぶという体験を、テクノロジーとリアルイベントの融合で実現しています。
今回はカーボンクエストとその活動についてご紹介しました。
次回は、2025年4月13日に円山動物園で開催された、アプリ版「カーボンクエスト」を活用したイベントの様子や参加者の声、盛り上がりの工夫などを詳しくお届けします。どうぞお楽しみに!